山菜の天ぷらを、

ふきのとう

食べたという話ではない。
 
今年の春は、あまりの忙しさに、
本当に目が回るような思いをして、
過ごしている内に、
 
いつの間にか、
大好きな春の山菜を食べないうちに、
季節が終わってしまった。
 
とても残念でならない。
 
一番好きなのは「ふきのとう」
どういう訳か、あの苦々しいのを、
ゆがいて、味噌和えにして食べるのが好きだ。
 
子どもの頃、親父に連れられて山へ取りに行った思い出の性だろうか。
 
小学校2年生になった(いつのまにかなてしまった)三男君が、
国語の教科書に載っている「ふきのとう」の詩文を、
毎日、家で音読するのを聞くたびに、
あの初々しい薄き緑色の歯に包まれた、
まだかたくて小さい蕾たちの
姿が脳裏に浮かんできた。
 
しかたない。
来年の春まで待とう。