母校

母校と次男君

義父を見舞いに行き、
ついでに母校のキャンパスをぶらぶらと歩いた。
 
子供たちと、妻と、病室を抜け出してきた義父と、
ゆっくりと歩いた。
春分の日だけあって、日差しは大分暖かかった。
 
見覚えのない新しい建物が沢山増えて、
何となく疎外感を感じつつ、
所々に見覚えのあるものを発見しては、
懐かしくも思う。
20年近くもの間忘れていた記憶をいくつか思い出した。
 
当時、オギャーと生まれたばかりの赤ん坊たちが、
今ここに通っているんだと思うと、
なんとも不可思議な気分だ。 
 
四十余年の人生のうちの、
ほんの2年間を過ごしただけの場所だから、
ただそれだけの場所には違いない。
一方で、一番多感な時期を過ごした場所なのだから、
それだけ思い出深い。
 
でも思い出のほとんどは、
友人たち、先輩たちの思い出であって、
だからこそ、彼ら、彼女らの姿が、
今、目の前のキャンパスに見えないという欠落感が、
20年の時の流れを経た寂しさを感じさせる、
一番の原因だろう。